「ルポ 看護の質」を読んで

今回私が読んだ本は「ルポ 看護の質」という本で、この本は今の看護の現場の現状を小林美希さんが取材をし、それについてまとめた本だ。看護の質の劣化という題でいかに今の看護の質が低下してきているかが書かれている。看護師というものは本来読んで字のごとく患者さんを看て、護るもののはずなのにもかかわらず最近では電子カルテや検査の結果の数字を追っかけてしまっている。これは少子高齢化に伴う看護を受ける人の増加と看護師の不足により一人一人をしっかり見ることができなくなってしまっている状況が混ざり合い起こってしまった。

また今後、少子高齢化が進み、2025年には団塊の世代約600万人が一斉に後期高齢者となり、75歳以上の人の人口が合計で2179万人になる。1990年代は20〜40代の5.1人で1人の65歳以上の高齢者を支えていたが、2010年では2.6人で1人となり、2025年には1.8人で1人、2060年には1.2人で1人の高齢者を支えなければならない。ただでさえ人が少ない状況で今看護師は一人一人の負担が高く自分のやりたかった看護ができないと理由などから離職率が高く今後さらに状況が厳しくなる。これは看護の現場でも、介護の現場でも同じような問題が起きている。

そこで国はこのような状況を打開するために在宅看護、介護を推し進めようとしている。しかし在宅介護をするための人員の教育不足によりあまりうまくいっていない。しかし私はこの在宅看護こそが本来あるべき看護、介護の姿なのではないかと考えている。なぜなら、人の健康というものはその人の身体の状態だけで決まるものではないからだ。人の健康とはその人が置かれている環境、その人の心理状態も大きく関わっている。そのため、私は看護、介護というものは患者さんの一番過ごしたい場所で一緒に過ごしたい人と一緒にいることが一番なのではないかと考えている。実際にこの本にも、病院での入院から退院された患者さんの方が心理的に豊かになり、回復が早いという結果もあると書いている。

しかし、そのような私が考える理想を叶えるためには今のままでは在宅看護の看護師の数も、医師の数もそれを支える地域、家族の環境も整っておらず今のままではこの理想は叶えられない。そのため私はこれから看護師一人一人が医師に指示よってのみ動くのではなく、自分で経験を積み考えて動くことができる力は必要になってくると考える。そのようにすればこれかの訪れるであろう2025年問題にも柔軟に対応ができ、本来あるべき看護を全ての看護を必要としている人の提供できるのではないかと考えている。

ルポ 看護の質――患者の命は守られるのか』 岩波新書 小林美希著