「特別支援学校教師になるには」を読んで

この本は特別支援学校教師になりたい人を対象に、現役で働いている人の体験談を中心に現状を説明している。筆者はこれを読んだ人に次世代の同志になってほしいと願うとともに多くの人に福祉に対する興味を抱いてほしいという思いを持っている。楽しさなど、興味を引くような内容になっている。

この本を通して、現在特別支援学級の高等部では障害の種類に合わせた就職支援が行われていることを知った。例えば聴覚障害者ならマッサージ師、療法士など知識、技術を習得するための支援、知的障害者なら木工、農園芸など作業中心の支援が行われている。

私がこの現状から考えたことは、特別支援学級の教育の体制のあり方についてだ。

確かに、現在行われている支援には、自分ができることを見つめ自分に自信を持ち、自己肯定感を高められる、という利点がある。一方で、これらの支援の問題点として彼らができることが少し違うだけで細かく分けられ、選択の幅が限られていることが挙げられる。障害者と健常者が一緒に学ぶのは難しいが、私は種類の違う障害者同士なら職業支援を細かく分けなくてもいいと思う。なぜなら、障害者同士ならお互いの痛みをわかっていて、同じクラス内でも気遣いながら協力して生活できると考えるからである。

そのため私はチーム体制の職業支援を提案する。これは、学年や障害の種類に関係なく、就きたい職業でチーム分けをして、お互いの持っている障害の長所短所を活かしながら問題解決をしていくという仕組みだ。この体制の短所としては障害の種類によって得意分野の差が目に見えてしまい、自己否定感を生み出してしまうことだ。しかし、自分のできることとできないことをしっかりと把握することで、社会に出たときに自己表現しやすくなる。長所としては教師はその子に次にどういう挑戦をさせるといいのか、などの気づきがたくさんあることだと考える。

そして、この体制の何よりの長所はグループ意識を持つということでグループの中で自然にリーダーシップを取れる人が出てくることだ。現代の社会ではリーダーシップを取れる人が求められている。リーダーシップを取れる人が増えれば、社会で表立って活躍する人が増え、障害者の社会進出も進むと考えた。

私はこれらの取り組みをすれば、世間の障害者への理解が深まり、障害者がもっと社会進出できる社会になると考える。

 

特別支援学校教師になるには』 ぺりかん社 松矢勝宏、高野聡子、宮崎英憲著