【高校生 インタビュー取材】
私たち、郁文館グローバル高等学校社会福祉ゼミの二人は2018年9月12日に公益財団法人つなぐいのち基金の助成先である「特定非営利活動法人 合」を訪問し取材をさせていただきました。
郁文館グローバル高等学校 福祉ゼミとの協働プロジェクト「あいりすプロジェクト」の活動として、公益財団法人つなぐいのち基金の2018年度事業対象の助成先団体 のインタビュー取材としてお伺いしたものをレポートします。
はじめに、「特定非営利活動方針 合」さんについてご紹介させていただきます。
(ホームページより引用)
団体の目的(定款に記載された目的)
障害児・者が周辺地域において、コミュニケーション、社会性を高めていき少しでも自立できるよう支援していくこと。
事業内容
知的障害者(児)・精神障害者(児)・身体障害者(児)を対象に、グループの社会福祉法人と共に放課後等デイサービス事業・指定障害者(児)福祉サービス事業・訪問介護、介護予防事業・移動支援事業・生活サポート事業・福祉有償運送事業等を行っています。
設立以来の主な活動実績
当法人は2009年6月に特定非営利活動法人 結(ゆい)の行う事業所より独立しNPO法人を設立。
障害者に対する移動支援、居宅介護支援『ケアサービス合』として行う。
2010年度より越谷市に障害児を対象とする学童保育並びに一時預かり事業『学童保育合』を開始する。
生活サポート事業開始
福祉有償運送事業開始
2011年度4月より越谷市において最初の児童デイサービス『Kids合』開所。同年11月松伏町『Kidsえん』を開所。
2012年4月に『キズナ』、同年9月に吉川市に『yes』を開所。
2013年11月児童発達支援『Kidsプチとまと』開所
2014年5月 相談支援事業『障害者支援センター合』開始
2015年7月『生活介護合・短期入所合』開所
2015年11月 社会福祉法人 天恵園 設立 一部の事業を移管。
その他にグループとして、3施設を開所、1事業所を吸収合併、1NPO法人を設立。
また、埼玉県放課後等デイサービス連合会や埼玉県委託事業 東部地域療育支援センターなどとの協働の実績もお持ちです。
NPO法人合の山野裕文(やまのひろふみ)さん、小橋國康(こばしくにやす)さんにお話を伺いしました。
障害児に対する放課後等デイサービス「Kids合」はどのような経緯で始めようと考えたのですか?
2011年度より越谷市に障害児を対象とする学童保育のような一時預かり事業『Kids合』を開始しました。
この事業所の立ち上げの経緯についてお話します。
当時、養護学校の放課後に障害を持った子どもたちを預かる施設は全く無く、学校を終えた児童たちは家へ帰り親御さんが見守る以外すべはありませんでした。
そのため親は働くことや家事などに大きな制約を受けているという現実がありました。
そんな困っている親御さんたちの時間を少しでも作ってあげたいというのが出発点です。望めば誰でも来れるようにということをコンセプトに立ち上げました。
また、次の段階では重度の身体障害を持った子どもたち、医療的ケアの必要な子どもたちを専門に受け入れることのできる施設もご利用者さんの要望・必要性に迫られる形で設立しました。
知的障害も身体障害も状態が重い子ほど受け入れ先が無いというのが今なお厳しい現実です。
貴団体の他とのNPOとの相違点や魅力は?
障害の重い子を断らないことです。
言うのは簡単ですが、実際にそのような子を受け入れて安全に過ごしていくことは並大抵なことではありません。試行錯誤、失敗、苦労の連続です。
でも「そんな子ほど積極的に」というスタンスを貫いて活動を続けています。
1日の過ごし方は?
1日の過ごし方はそれぞれですが、ダンスや楽器、お散歩や絵本などを行います。
1日のうち必ず一つは共通活動を全員で行うようにしています。
また、土曜日は11時から5時まで開所しており祝日や夏休み、冬休みなどの長期休暇も開所しています。春にはお花見をすることもあります。
お仕事の中で特に大変なことは?
痰の吸引や人工呼吸器など医療的ケアの必要な子が不安定な時もあり、命の危険に直面することもあります。知識や経験をアルバイトの方やボランティアの方に教えることの難しさを実感します。また人手不足が深刻で管理者の小橋さん(自身)がいない時の人員配置に不安があります。
イベントの企画なども小橋さんが主で行っています。様々な面でまだまだ自分がいなければ不安な部分もあり、いつ自分が抜けても大丈夫なような環境が作れていないのが悩みです。企画なども他の職員ができたらいいなと感じています。
小橋さんは子どもが自分の子どものように感じられているそうですが、十分プライベートな時間が取れずワークライフバランスが崩れがちなことも問題の1つです。
貴団体が思う社会全体の課題とは?
利用者さんを外出に連れて行くのは好きですが、近所のショッピングモールなどは設備の整ったトイレがなく、まだまだ障害者にやさしい環境というにはほど遠いと感じます。
人員体制などはいかがですか?
常勤、非常勤どちらもですが、働いてくれる人の人数がもっといてほしいです。減ってしまっても増えていかないという状況で年々厳しくなっています。
今は特に15時〜17時の人手が不足しています。うちではお手伝いしていただける方に対してはボランティアではなく、アルバイトととしてきちんと時給をお支払いしてお仕事をしていただいています。合での障害福祉のお仕事は敷居は高くなく、お手伝いをしてくれるという気持ちを持っていればどなたでも拒まないという考えで様々な立場・経験の方々を受け入れています。
そしてそれぞれの能力・スキルに応じて役割を担ってもらっています。人手は常に不足していますが、どうしても日々の業務に追われて求人活動ができていないというのが実情です。
障害を持った方と健常者の方との関わりがありますか?
今の我々の活動の中ではほとんどありません。障害を持った子どもたちとと健常の子どもたちが関わることは決して悪いことではないと思います。ただ、そのことでメリットとしての刺激を受けるのは健常の子どもたちです。知的障害を持った子にとってはその交流の意味は理解できないかもしれません。また、もう少し軽い発達障害や自閉症の子どもたちにとってはむしろ劣等感を強く感じてしまうかもしれません。保護者もまた自分の子どもにそのような思いをさせたいとは思いません。そんな事情もあり実際には交流する機会はそれほどあまりありません。
気をつけていることやこだわりはありますか?
施設によっては常に現場にいられる職員が少なく、週に3日4日でナースが入れ替わるという現状ではわずかな変化や兆候に気づきにくいということがあります。変わりがないか、違和感はないかと目を向けることには特に注意を払っています。
良かったなと思うことは?
ずっと病院で生活をしていた子がここでの生活をはじめて、慣れてきた半年ほどの頃には、その子の様子は目に見えて変わり活き活きとしてきます。そんなときこの仕事をしていてよかったなぁと感じます。また中学生くらいになると何かと多感な時期で心を解くのに苦労もありますが、そんな中でも情緒面での成長を見られるのは楽しいです。
私たち高校生が活躍できるフィールドはありますか?
アルバイトという形で成人の方からも高校生まで働いてもらっています。イベントなどの共催などの際はボランティアとしても近くの高校生が頑張ってくれました。
働き手という意味では、定年退職をしたあとのシルバーの方々の活躍の場にもなっています。また、やりがいをストレートに感じることができるお仕事であるという利点があります。
ハンデを持ちながらも懸命に生きている本人とそれを支える家族、どちらも生きていくことで精いっぱいです。そこには他人の支援がどうしても必要となります。その一助としてお手伝いしていく障害福祉のお仕事は、求められ、感謝されて、楽しさとやりがいを直接感じることのできるものだと思います。
見学などはいつでも大歓迎です。少しでも興味を持ったり共感していただけたならぜひ一度お問い合わせください。
今年度の私達のゼミのコンセプトは「人々の幸福のため」です。
そこで、こんな質問をしてみました。
貴団体にとっての「幸せ」とは何かお聞きできますか?
子どもの笑顔で私たちは幸せになります。利用者であるの子どもたちにとっても、笑うということは楽しいということ。楽しいと思うことが一番!
みんなでそんな活動を続けていけたら幸せです!
取材を終えて
取材を終えて、人手不足やバリアフリー化などまだまだ社会の課題は多くあるということが分かりました。そのために、例えば人手不足についてはポスターやパンフレットなどを配り多くの人に情報を発信する、またボランティアサイトなどにも掲載をして参加を呼びかけると人手不足の解消に貢献できるのではないかと考えました。さらに、わかりやすいマニュアルを作成することで仕事が明確化され、より働きやすい環境を作ることができるのではないかと考えました。